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占夢解説

初夢っていつみる夢?元旦の夜?大晦日?

 新年といえば初夢。初夢って、いつみる夢のこと?という内容が毎年話題になっているようですが。
 初夢は元日の夜から2日にかけてみる夢のこと、というのが一般的です。江戸時代には、よい初夢をみるための枕絵というものが売られており(文字通り、枕の下に敷いて眠るというもの)、これが売られるのは、元旦の夕方だったといいます。
 
 どうして?元旦の朝に思い出した初夢じゃないのか?という疑問もあるでしょう。確かに。
 まず、初ナントカというのは、年明け最初にするものを言います。年が明けなければ「初ナントカ」にはなりません。初詣は、年が明けてからするから初詣。除夜の鐘が終わる前に参拝しても、初詣とはいいませんので。
 
 ということは。除夜の鐘が終わってからみた夢じゃないと、初夢にはならないということですね。夢をみる、といいますが、夢は正確には思い出すもの。朝起きて「昨夜はこんな夢をみたな」と思い出すのが夢です。
 たしかに元旦の朝起きて、思い出した夢が初夢というようにも考えられるのですが、問題は、それが昨夜の夢だという部分です。そうです、昨夜。
 つまり、その夢が0時前にみたものだったら前年のうちにみた夢だから初夢ではないということになるわけです。除夜の鐘を聞き終わる前に眠ってしまったとしたら、そのあたりが曖昧。もしかして、前年のうちにみた夢かも知れませんよね。
 じゃあ、除夜の鐘を聞き終わってから眠ってみた夢なら、問題なく初夢になるだろう、だから除夜の鐘が終わるまで起きていれば問題ない!と考える人もいますね。まあ、そういう考え方もアリかも知れません。しかし…。
 
 現代では、ほとんどの国や民族が、1日の変わり目を0時にしています。つまり、正午の太陽の反対を太陽が通過した時点が、1日の変わり目になっているのです。
 が、古代において、1日の境目はまちまちでした。朝、太陽が昇る夜明けと共に新たな1日が始まるという民族や時代もありました。かと思うと、日が沈んだとたんにその1日は終わるのだから、日没から新たな1日が始まると考えた民族文化もあったのです。天文学では、1日の始まりを正午にしていた時代もありました。
 
 さて、江戸時代、1日の境目は真夜中、子の刻の真ん中と決められました。今とほとんど同じです。
 しかし、月齢はこれとは無関係です。たとえば、日没と共に東の空に昇って来るのが十五夜の月です。十五夜の月が空高く上り、0時を過ぎたからといって…十六夜の月にはなりません。十五夜の月は、朝になって沈むまで十五夜の月です。よく考えてみれば、ややこしい話です。
 たしかに夜中ずっと起きていますと、夜中の1時というのは、前日の25時に、2時は前日の26時…という感覚のほうが自然に感じられるものです。かつて日本の古代においては、朝は日の出から始まると考えられていましたから、月が沈むまで月齢が変らないのは、当然のことです。
 というようなことがあり、元旦の朝より前にみた夢は、(たとえ0時過ぎにみた夢であっても)前日の夢、前年の夢になってしまうという感覚で捉えられ、初夢とは呼べないものだったのでしょう。
 
 だいたい、年越しの夜は、ほとんど寝てなどいられず、元旦は朝も早くから起きだすので、夢を思い出す暇などない、ということもあったようです。思い出せなければ夢占いも何もあったものではないからです。元旦の行事を終えて、ゆっくり眠った次の朝なら、夢を思い出す時間もあった、ということなのかも知れません。
 というわけで、初夢は元旦の夜にみて、2日の朝に思い出す夢、ということです。一般的には。
 
 しかし、だからといって、大晦日の夜から元旦説が間違いというわけでもありません。こちらはこちらで、また違う意味で正統派なのです。
 つまり、来年を占う夢は、年越しの夜にみるもの、という考え方です。その場合には、大晦日から元旦にかけてみた夢に意味があり、それを初夢とするということになります。(初夢というより、年越しの夢と呼ぶほうがふさわしいような気もするのですが。)
 これは、時の境目にこそ神聖な力があるという考え方から来ています。あるいは、ひとつのサイクルが終り、次のサイクルに入るその瞬間に特別な力が宿るという考え方です。人が地上に誕生したその瞬間に、運命が宿るという考え方に近く、まさにこれこそがイニシャルドリーム(始まりの夢)ということになるのかも知れません。
 
 年越しの夜に、未来のヴィジョンがあらわれるという話があります。これは夢ではなく、予知の幻視(ヴィジョン)ですが、年の区切りをまたいだ瞬間にあらわれるものですから、予知夢に極めて近い性質のものと考えてもよいでしょう。となると、大晦日のカウントダウンの瞬間に幻視(ヴィジョン)をみる人もいそうですが。
 さて、そういうわけで…結局、元旦の夜から2日の朝にかけて、が一般回答なのですが、大晦日から元旦にかけて(年を越す瞬間を含む)も、ある意味、正解に含まれるといっていいでしょう。
 (ただし、これは、新年の始まりっていつ?という問題にも言及しなくてはなりません。大晦日から新年を旧暦で行うべきか。立春前夜の節分にみた夢は初夢ではないのか、といったような問題にも関連します。もちろん、立春前夜の夢も、初夢と同じように、予知夢と捉えることができるでしょう。)

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