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亥の子餅は亥月の縁起モノ そして 冬の到来

 亥の子餅を作ろうかと思って調べ始めたのですが、そもそも亥の子餅とは、亥月の亥日に食べる餅である、ということ。
 亥の子(猪の子)に見立てた「亥の子餅」を食べれば無病息災で子孫繁栄と言い伝えられ、この根拠は、中国で「亥の月、亥の日、亥の刻に餅を食べれば無病息災である」と言われていたことから(注・どの本に書かれているのかが不明なのですが)、すでに、平安時代には、禁裏年中行事として行われていたようです。もともとは中国の風習。しかし中国ではすでに、亥の子餅は作られてはおらず、日本でだけ、いまだに亥の子餅が残っているわけです。
 
 (日本の昔の文献によれば)、亥の子餅とは、米粉に、大豆、小豆、ささげ、ゴマ、栗、柿、糖(あめ)を混ぜて作った餅であるようです。なるほど。これはまず、求肥を作ることからでしょう。求肥は、米粉(糯米から作った白玉粉)に、2倍から3倍量の糖を混ぜて練り、蒸して作る。求肥はかつては牛皮と書かれ、牛の皮のように白く滑らかな菓子という意味であったようで、中国から日本に伝わった菓子。
 糖は飴。発芽麦を、餅米の粥と混ぜ、一晩温めて糖化させたものを煮詰めるという方法で作った水飴(膠飴)です。これ作るのわりと大変なんですが。とにかく、亥の子餅が、求肥餅であるということはまず(歴史的に)確実だと思われます。
 求肥に黒ゴマとか小豆を混ぜると、なんかイノシシの毛みたいに見えるのでしょう。栗や干し柿を混ぜて突きこめば、茶色っぽい餅が出来上がるわけです。

画像:亥の子餅

 さて、亥の子餅を買いに行こうか、作ろうか、思案中。(水飴作るのは、大麦を3日間水に漬けてから発芽させなくてはならず、とっても大変なのですが、しかし、純粋な水飴って、どこで買えるのか。甘いものが貴重だった時代、水飴と餅で、栗や木の実を包んだ菓子は、それは貴重なものであったに違いなく。しかし、糖質制限を考えると1つが限度という感じなのですが。
 
 というわけで、黒蜜を使い、大福餅を混ぜて、栗とか入れて作ってみました。とにかく混ぜてまとめる。昔の亥の子餅って、こんな感じだったのではないでしょうかね。全体的に黒っぽい感じにするほうが縁起モノっぽくなります。亥は五行では北で冬で黒ですので。
 
 そして、亥月の亥日は、炉開き。こたつの使いはじめ、とされていますが、これは、亥が五行の水なので、火事除けのまじないという意味が込められているのだそうです。でも、実際には、亥月より前に暖房を使い始めるお宅が多いのではないでしょうか。
 そして、この亥月の亥日は、亥月の間に、2〜3回巡ってきます。占術仲間の美嶺さんに伺いましたところ、「伊勢貞丈の本によると旧暦の10月・亥の日に御殿に参った者に対して、将軍家自ら玄猪餅を玄猪餅の包みに包んで渡した、とあるそうです。それによれば、一の亥の日は「玄猪餅と一緒にしのぶと菊」、二の亥の日は「玄猪餅と一緒にしのぶと紅葉」、三の亥の日は「玄猪餅と一緒にしのぶと銀杏の葉」を包んだということです。   (秋月さやか)

占術研究家 秋月さやか

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