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狐と狸がここだけ占い話

七五三は105なり?

 ここは古い鎮守の森。今日はなにやら、朝から神社の境内が騒がしい。着飾った子供たちと、その親がやってきては、ガラガラ、パンパン、ちゃりーん。

画像:coon

狸(たぬき)「おい、きつね、今日は掃除の日らしいぞ。人がいっぱいきているし、神主もハタキを振り回しているしな。」
狐(きつね)「ハタキではない、御幣だ。」
狸(たぬき)「へえ、あれは餅なのか。」
狐(きつね)「五平餅ではない、御幣。」
狸(たぬき)「で、何やってんだ?引越しか?いよいよ。」
狐(きつね)「違う、七五三だ。」
 
狸(たぬき)「ひちごさん?それは誰だ?」
狐(きつね)「ひちごさんではない、七五三だ。旧11月15日の行事だ。」
狸(たぬき)「11月の月見か?。団子じゃなくて、金太郎飴を供えるのか、そうかそうか。」
狐(きつね)「金太郎は5月だろ、今は11月。七五三は、子供の成長を祝う行事なのよ。」
 
狐(きつね)「まずは3歳だな。三つ子の魂百までというが、子供は3歳までは赤子。3歳からようやく自我が芽生えてくるということで、その節目を祝うのだ。」
狸(たぬき)「3歳前の記憶がないっていう人、多いみたいだな。」
狐(きつね)「そして5歳になれば、自分でなんでもやろうっていう自立心が芽生えてくる。自立の節目。昔は男の子は5歳から袴をはいたのだ。」
狸(たぬき)「幼稚園に入る頃だな。」
狐(きつね)「そして7歳は、社会の一員として認められる節目。それまでの子供の着物から大人の着物になり、髪型も変わるのだ。」
狸(たぬき)「小学校に入る年だろ。」
狐(きつね)「そうだ、人はそうやって成長していくっていう節目の行事なんだ。」
狸(たぬき)「金太郎飴を食べる日じゃないのか〜。」
狐(きつね)「あれは千歳飴といってだな、長寿を祈る飴なのよ。」
狸(たぬき)「千歳か、そりゃすげー。」
狐(きつね)「イメージだよ、イメージ。」
狸(たぬき)「おいら、長いうどんを食べたいなあ。食べても食べても食べても、まだまだ続くうどん。じゅる。」
 
狐(きつね)「…うどんはこの際、関係ない。3歳の時にはな、頭に綿帽子をかぶせて、白髪になるまで長生きしよろ、っていうまじないをするんだ。」
狸(たぬき)「なるほど、子供が百五歳まで長生きしますように、と長寿を願う行事なのだなあ!」
狐(きつね)「いや、99歳までだよ。百マイナス1は99。それと白髪をかけてあるのだ。」
狸(たぬき)「かけるんだろ、だから3×5×7=105!」
狐(きつね)「掛け算じゃないぞ。」
狸(たぬき)「あれ、3つ足りないなあ。あと3つだ。」
狐(きつね)「?」
狸(たぬき)「あと3つで108、人生の煩悩の数だ。やっぱり108歳まで長生きせにゃいかん!」

注釈・七五三は、日本独自の行事日であると考えられる。江戸時代、綱吉が5歳の祝いをこの日に行ったのが起源。当時、男の子は5歳になると袴を着けた。 旧暦11月15日は、古くは鬼宿にあたり、めでたい日であると考えられていたため。

「狐と狸がここだけ占い話」は、不定期更新です。鎮守の森の裏手を、たまに覗いてみてください。

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