ムーンラボカフェ

筆者エッセイ

古今東西、夢の世界を集大成

 みなさまこんにちわ。
 ここでお知らせです! 「夢占い事典」が発売になりました!
 私にとっては、3冊目の夢占い執筆作品です。
 
 さて、夢占い本の執筆で一番苦労したのは、項目を見やすくすること。以前、2冊目の夢占い本を作成する時、編集者さんに、「夢占いって、何項目ぐらいあればいいんですか?」と聞かれましたが、あらゆる出来事が夢に登場する可能性があるわけで、となると、その項目には際限がなく、理想としては百科事典と同じぐらいかも?とお答えしました。
 
 つまり、夢占い事典の項目は多ければ多いほどいいのです。今回は2500語対応。しかし、その膨大な言葉を検索するための項目を見やすく整理するにはどうしたらいいか? 3冊目の夢占い事典を執筆するにあたり、私は、辞典を何冊も購入し、図書館にも通い詰めました。50音順の辞典ではなく、類語辞典や、動植物事典、その他、いろいろなジャンルの事典に目を通したのです。
 私は今から10年以上前、パソコン通信の時代に、「夢を占う7つの質問」を作成しました。その7つのジャンルの大枠の中に、果たしてすべての物事が収まりきるのかどうかを改めてチェックするため、さらには、項目下の分類をより見やすくするために、いろいろな事典や辞典が必要だったのです。
 世の中には、こんなにいろいろな物事があるのだ〜と私は押しつぶされそうになりました。しかし同時に、これらのジャンルの分け方は、たぶん、2千年前と、そんなに変わっていないのではないか、という気もしました。
 
 夢占いの起源は大変古く、古代エジプト時代(なんと紀元前1100年頃)に、すでに夢占いの書があったといいます。もちろんそれはパピルスに記されたものですが、その中にはすでに、花、食べ物、犬、喪服、財産などの文字が見えます。なるほど、夢占いは、人々の生活と共にあったわけです。
 
 さて、現在の夢占いは、西洋系ではアルテミドロスの夢占いの書が主流になっています。これはフロイト、ユングの夢分析の基本書ともいうべき本で、いわば西洋夢占いのバイブルです。
 一方、東洋の夢占いは?というと、これには「周公釈夢」があります。といっても、これはわが国では明治時代に「迷信」ということで、ほとんど姿を消してしまった本なのですが。とにかく、アルテミドロスが夢のバイブルなら、周公釈夢は、夢の経典といってもいいでしょう。
 
 アルテミドロスと、周公釈夢の解釈は、似通っている部分もあれば、まったく相容れない部分もあります。なぜかといえば、それは文化が異なるから。文化が異なれば、見る夢も違うのです。西洋、東洋、とおおまかに分けてしまうこと自体にもちょっと無理があります。ヒンドゥにはヒンドゥの夢占いが、ネイティブアメリカンにはネイティブアメリカンの夢占いがあります。
 
 韓流、中国の歴史モノなどを読んでいると、かなりの頻度で夢占いの話が出てくるのですが、それらの夢はアルテミドロスでは解釈できません。ほとんどいっていいほど、そこには漢字の夢解きがあるのですが、それはまさに漢字文化圏だからです。もともと、「刀州の夢」と言えば、出世を意味する言葉でしたが、それは、故事の夢占いから来ています。その特徴は、夢にあらわれた象意を、漢字に置き換えて解釈するという独特の手法です。
 漢字の文字解き占いは、あの名作「チャングム」の第一話にも登場します。老師様が、3つの漢字をチャングムの父親に書き示しましたが、あれが典型的な漢字占いです。
 
 さて、この夢占い本のために、私は、500冊近い資料に改めて目を通しました。
 東洋、特に日本の夢占いの歴史にも言及しましたので、興味のある方は、ぜひお手にとってご覧ください。

秋月さやか

夢についてのノート > 筆者エッセイ 古今東西、夢の世界を集大成

この記事のURL