占術解説
有名になる星の配置というのはあるのでしょうか?
「私は有名になれるでしょうか?」という質問をいただきました。つまり、ネイタルチャート(ホロスコープ)から、有名になれるかどうかを占判してほしい、というご希望です。
一瞬、考えてしまいました。なぜなら私のところに、これまでそのような質問(依頼)はなかったからです。
「転職しようと思っているんですが、適職ですか?」というような質問はよく来ますけどね。でもたしかに、成功するのかとか、有名になれるのか、という質問があってもおかしくはありません。
ということで今回は、「有名になる星の配置というのは?」について考えてみたいと思います。
ですがその前に。そもそも、「有名」ってどういうことでしょう?
辞書をひきますと「有名→1 名を有すること。2 世間に名が知られていること。また、そのさま。」(デジタル大辞泉)とあります。
つまり、名前が世間的に多くの人に知られる状態が有名です。たとえば、聖徳太子は有名です。これは誰でも異存ないところでしょう。小学校の社会科の教科書で聖徳太子がどういう人かは習いますし、昔は、1万円札にその御尊顔が印刷されていましたから、まさに誰でもが名前を知っている有名人と言ってもいいのではないでしょうか。
では、聖徳太子はなぜそんなに有名なのでしょうか。はい、それは日本の歴史を変えるような偉業を成し遂げた人物として歴史に名が記録されているからです。これは社会的に意味のあることを成し遂げれば多くの人に認められ、結果的に有名になる、という構造です。
さて、心理学者「アブラハム・マズロー」は、人間の基本的欲求を、生理的欲求 (physiological need) 、安全欲求 (safety need) 、所属と愛の欲求 (social need/love and belonging) 、承認欲求 (esteem) 、自己実現欲求 (self actualization) の5段階に分類しました。
「生理的欲求」は、腹が減った、喉が渇いた、トイレに行きたい、というような生理的な欲求です。それがほぼ満たされると、次には「安全欲求」に意識が向かいます。それがほぼ解決すると、所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)、つまり他者に受け入れられているという感覚を求めるようになっていくという説です。その先は他者や社会により広く認められたいという「承認欲求」となる、それが意識の発達段階であるとしています。つまり、有名になりたい、というのは承認欲求からきているということで、しかもそれは、誰もがもっている欲求であると考えてよいわけです。
意識の成長段階を占星術的に考えると、原初の生理的欲求は月が司ります。月の支配年齢は0歳から4歳という説ですが、つまりは三歳児まででしょう。地上から近い惑星の影響力から順に発揮されていくと考えられるため、誕生後は月の生理的欲求から始まるのです。次の安全欲求、つまり乳幼児の危険回避能力(学習)は、快・不快という感覚を伴うものですが、年齢域で考えれば、これも月の支配下の年齢域のうちに起こることでしょう。
その次の所属と愛情の欲求については、自己と他者との関係性や所有という意識が絡んできますし、コミュニケーション能力が発達しないと認識されないものですから、これは月の年齢域を過ぎて次にやってくる水星の年齢域、つまり4歳以降でしょう。 (注・水星の年齢域については諸説ありますが、私は4歳から10歳ぐらいまでではないかと思います)
だから承認欲求が本格的な形になって意識にのぼりはじめるのは11歳以降ではないかと、私は考えていますが。
とにかく、人間の中にそういう欲求があるからこそ、人は世の中に認められようと動き、そして結果的に社会貢献するということです。その結果、社会は発展していく、より便利に快適に、興味のある物事で満ち溢れる、というような状態になっていくわけです。人々の承認欲求は、適度に会ったほうが、社会全体のため、ということですね。
進学や就職の時、「自分が好きな分野に進みたい」と考えるのはかなり自然なことでしょう。実際、私のところにやってくる相談は、そのパターンが多いのです。自分の興味がある分野に関わりたい、人生、好きなことをしながら暮らしたい。それは当然ですね。
ですが、もう一歩進んで、「人よりも秀でている能力を活かそう」「自分が認められる分野に進んでみよう」と考えたほうが、その後の仕事はうまくいきます。つまり、社会との関係性でいえば、認められる分野に進んだ方が、承認されやすくなる、ということです。さらには、承認される結果、報酬を得やすくなるというメリットもあるわけです。
とにかく、「有名になりたい!」という欲求を持つことは、結果的には社会に貢献する方向となり、社会にとって有益となるのです。しかし、「有名かどうか」は、本人ではなく、社会が決めるという点も大切なのですが。
さて、占星術の話です。承認欲求にはまず木星が関わります。より広く社会的に認められたい、ということであれば木星は必須です。木星はもともと年の収穫を意味する星と考えられました。収穫がたくさんあれば豊かに暮らせる、人々に利益を分配することもできる、そして共同体がより豊かになるという、共同体に関する意識でもあるからです。
木星に他の星と強いアスペクトがあるかどうか。もしくは、アセンダントディセンダント、MC,ICなどの近くにあるかどうかをチェックしましょう。
強い配置がある場合には、自分を社会の一員として位置付け、その中で認めてもらいたいという認欲求があると考えてよいでしょう。たとえば子供の頃から、周囲と自分との関係性を意識しているか。先生に褒められると嬉しい、他のメンバーに自分を認めて欲しい、といったようなことです。
しかし明確なアスペクトがない場合には、周囲と自分とのつながりをそれほど明確に意識はしません。先生から褒められてもそれほど嬉しくはなく、褒められるためにどうすればいいのかといったようなことを考えることも(たぶん)ないでしょう。
成功とはより多くの人に認められることです。たくさんの人々が興味が持つような話題を扱い、それが商品開発なら、多くの人々が購入したいと思う品を作ることなのです。コメンテーターなら、多くの人々が称賛するような言動をすることです。さらには、社会が望む成功パターンに合わせていかないと、「成功している」というように社会からは認めて貰えないという場合もあるでしょう。
太陽と木星の強いアスペクトを持つ人の特徴として、社会的な視野が挙げられます。世の中では何が流行ってるのか。どのようなことを人々は望んでいるのか。と、そのように木星の配置は、社会的な成功パターンや承認欲求をチェックするポイントになります。
つまり、公私のうちの公の部分を意識して生きることが、有名に繋がります。これは占術の話ではなく一般論になってしまいますが、私(個)よりも、公(社会)を意識して動くことができるかどうか。そして、公の部分に意識が向かえば、私には向かいにくくなるのは当然でしょう。ですから、「自分の好きなことをしたい」ではなく、「社会に認められることをする」となっていくのもまた当然のことです。有名になると、私の部分を意識する時間やエネルギーは減っていきます。有名になるためには、自分の好きなこと(私)ではなく、社会に認められること(公)をしなくてはなりませんから。(しかし、承認欲求の高い人は、社会に認められればそれが喜びとなるので、OKなのです。)
次に承認欲求に関わっているのは土星です。実際、木星のアスペクトだけでは社会的に高い評価をされるような(社会貢献度の高い、あるいは価値があると思われる、と言い換えられるでしょうか)成功には辿りつけない場合もあります。
物事をしっかりと形にするという役割は土星が果たすのです。ある目標を達成するための計画性、学習、失敗の事前回避などです。時には土星の意識は、自己否定感を強めてしまうものとなることもあります。
木星のアスペクトが弱く、土星のアスペクトが強い人は、「自分はダメなんじゃないか」と、悩むことが多いでしょう。しかし、自分の至らなさを知っている人だけが、より大きな成長をすることができたり、失敗を回避することができるというのは、言うまでもないことでしょう。(木星のアスペクトが強く、土星のアスペクトがない人は、実現性の低い未来を思い描くことが得意ですし、成功願望も強いのですが、しばしば、自己肯定的になりすぎて、楽観的な予想話に終わってしまうことがあります。)
というわけで、「社会的な成功は木星と土星のアスペクトに注目」という結論になるかと思います。
さらにもう1つ、これは承認欲求とはまったく違う次元の話になるのですが、有名になるためには、流行サイクルとの一致が必須です。ヒット商品を作りたいなら、流行に乗ったイメージが必要であると言われます。芸術家などで、生前はまったく売れず、死後に有名になったというような人がいますが、つまりその芸術家は、実力はあっても、この流行からまったく外れているような作品を作り続けていたりしているのです。芸術家が職人として報酬を得るということ、芸術を発表するということは、必ずしも同じではありません。
この流行サイクルをチェックするために必要なのは、天王星と海王星です。芸術家や芸能人が流行の波に乗って売れるかどうか、その流れを察知できるかどうかというようなチェックのために使用されるアスペクトです。「流行は天王星と海王星のアスペクトに注目」ということです。
ただし、流行を察知できる配置を持っていたとしても、社会的な成功に結びつけるためには、やはり木星と土星のアスペクトが必要になるのは言うまでもないことですし、流行に乗って注目される期間は7年間、最大で14年間ぐらいだと考えておくべきです。
今回は「社会的に有名になる星の配置はあるのか?」という観点から書いてみました。実例については、また改めて別な機会に取り上げてみたいと思います。
一瞬、考えてしまいました。なぜなら私のところに、これまでそのような質問(依頼)はなかったからです。
「転職しようと思っているんですが、適職ですか?」というような質問はよく来ますけどね。でもたしかに、成功するのかとか、有名になれるのか、という質問があってもおかしくはありません。
ということで今回は、「有名になる星の配置というのは?」について考えてみたいと思います。
ですがその前に。そもそも、「有名」ってどういうことでしょう?
辞書をひきますと「有名→1 名を有すること。2 世間に名が知られていること。また、そのさま。」(デジタル大辞泉)とあります。
つまり、名前が世間的に多くの人に知られる状態が有名です。たとえば、聖徳太子は有名です。これは誰でも異存ないところでしょう。小学校の社会科の教科書で聖徳太子がどういう人かは習いますし、昔は、1万円札にその御尊顔が印刷されていましたから、まさに誰でもが名前を知っている有名人と言ってもいいのではないでしょうか。
では、聖徳太子はなぜそんなに有名なのでしょうか。はい、それは日本の歴史を変えるような偉業を成し遂げた人物として歴史に名が記録されているからです。これは社会的に意味のあることを成し遂げれば多くの人に認められ、結果的に有名になる、という構造です。
さて、心理学者「アブラハム・マズロー」は、人間の基本的欲求を、生理的欲求 (physiological need) 、安全欲求 (safety need) 、所属と愛の欲求 (social need/love and belonging) 、承認欲求 (esteem) 、自己実現欲求 (self actualization) の5段階に分類しました。
「生理的欲求」は、腹が減った、喉が渇いた、トイレに行きたい、というような生理的な欲求です。それがほぼ満たされると、次には「安全欲求」に意識が向かいます。それがほぼ解決すると、所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)、つまり他者に受け入れられているという感覚を求めるようになっていくという説です。その先は他者や社会により広く認められたいという「承認欲求」となる、それが意識の発達段階であるとしています。つまり、有名になりたい、というのは承認欲求からきているということで、しかもそれは、誰もがもっている欲求であると考えてよいわけです。
意識の成長段階を占星術的に考えると、原初の生理的欲求は月が司ります。月の支配年齢は0歳から4歳という説ですが、つまりは三歳児まででしょう。地上から近い惑星の影響力から順に発揮されていくと考えられるため、誕生後は月の生理的欲求から始まるのです。次の安全欲求、つまり乳幼児の危険回避能力(学習)は、快・不快という感覚を伴うものですが、年齢域で考えれば、これも月の支配下の年齢域のうちに起こることでしょう。
その次の所属と愛情の欲求については、自己と他者との関係性や所有という意識が絡んできますし、コミュニケーション能力が発達しないと認識されないものですから、これは月の年齢域を過ぎて次にやってくる水星の年齢域、つまり4歳以降でしょう。 (注・水星の年齢域については諸説ありますが、私は4歳から10歳ぐらいまでではないかと思います)
だから承認欲求が本格的な形になって意識にのぼりはじめるのは11歳以降ではないかと、私は考えていますが。
とにかく、人間の中にそういう欲求があるからこそ、人は世の中に認められようと動き、そして結果的に社会貢献するということです。その結果、社会は発展していく、より便利に快適に、興味のある物事で満ち溢れる、というような状態になっていくわけです。人々の承認欲求は、適度に会ったほうが、社会全体のため、ということですね。
進学や就職の時、「自分が好きな分野に進みたい」と考えるのはかなり自然なことでしょう。実際、私のところにやってくる相談は、そのパターンが多いのです。自分の興味がある分野に関わりたい、人生、好きなことをしながら暮らしたい。それは当然ですね。
ですが、もう一歩進んで、「人よりも秀でている能力を活かそう」「自分が認められる分野に進んでみよう」と考えたほうが、その後の仕事はうまくいきます。つまり、社会との関係性でいえば、認められる分野に進んだ方が、承認されやすくなる、ということです。さらには、承認される結果、報酬を得やすくなるというメリットもあるわけです。
とにかく、「有名になりたい!」という欲求を持つことは、結果的には社会に貢献する方向となり、社会にとって有益となるのです。しかし、「有名かどうか」は、本人ではなく、社会が決めるという点も大切なのですが。
さて、占星術の話です。承認欲求にはまず木星が関わります。より広く社会的に認められたい、ということであれば木星は必須です。木星はもともと年の収穫を意味する星と考えられました。収穫がたくさんあれば豊かに暮らせる、人々に利益を分配することもできる、そして共同体がより豊かになるという、共同体に関する意識でもあるからです。
木星に他の星と強いアスペクトがあるかどうか。もしくは、アセンダントディセンダント、MC,ICなどの近くにあるかどうかをチェックしましょう。
強い配置がある場合には、自分を社会の一員として位置付け、その中で認めてもらいたいという認欲求があると考えてよいでしょう。たとえば子供の頃から、周囲と自分との関係性を意識しているか。先生に褒められると嬉しい、他のメンバーに自分を認めて欲しい、といったようなことです。
しかし明確なアスペクトがない場合には、周囲と自分とのつながりをそれほど明確に意識はしません。先生から褒められてもそれほど嬉しくはなく、褒められるためにどうすればいいのかといったようなことを考えることも(たぶん)ないでしょう。
成功とはより多くの人に認められることです。たくさんの人々が興味が持つような話題を扱い、それが商品開発なら、多くの人々が購入したいと思う品を作ることなのです。コメンテーターなら、多くの人々が称賛するような言動をすることです。さらには、社会が望む成功パターンに合わせていかないと、「成功している」というように社会からは認めて貰えないという場合もあるでしょう。
太陽と木星の強いアスペクトを持つ人の特徴として、社会的な視野が挙げられます。世の中では何が流行ってるのか。どのようなことを人々は望んでいるのか。と、そのように木星の配置は、社会的な成功パターンや承認欲求をチェックするポイントになります。
つまり、公私のうちの公の部分を意識して生きることが、有名に繋がります。これは占術の話ではなく一般論になってしまいますが、私(個)よりも、公(社会)を意識して動くことができるかどうか。そして、公の部分に意識が向かえば、私には向かいにくくなるのは当然でしょう。ですから、「自分の好きなことをしたい」ではなく、「社会に認められることをする」となっていくのもまた当然のことです。有名になると、私の部分を意識する時間やエネルギーは減っていきます。有名になるためには、自分の好きなこと(私)ではなく、社会に認められること(公)をしなくてはなりませんから。(しかし、承認欲求の高い人は、社会に認められればそれが喜びとなるので、OKなのです。)
次に承認欲求に関わっているのは土星です。実際、木星のアスペクトだけでは社会的に高い評価をされるような(社会貢献度の高い、あるいは価値があると思われる、と言い換えられるでしょうか)成功には辿りつけない場合もあります。
物事をしっかりと形にするという役割は土星が果たすのです。ある目標を達成するための計画性、学習、失敗の事前回避などです。時には土星の意識は、自己否定感を強めてしまうものとなることもあります。
木星のアスペクトが弱く、土星のアスペクトが強い人は、「自分はダメなんじゃないか」と、悩むことが多いでしょう。しかし、自分の至らなさを知っている人だけが、より大きな成長をすることができたり、失敗を回避することができるというのは、言うまでもないことでしょう。(木星のアスペクトが強く、土星のアスペクトがない人は、実現性の低い未来を思い描くことが得意ですし、成功願望も強いのですが、しばしば、自己肯定的になりすぎて、楽観的な予想話に終わってしまうことがあります。)
というわけで、「社会的な成功は木星と土星のアスペクトに注目」という結論になるかと思います。
さらにもう1つ、これは承認欲求とはまったく違う次元の話になるのですが、有名になるためには、流行サイクルとの一致が必須です。ヒット商品を作りたいなら、流行に乗ったイメージが必要であると言われます。芸術家などで、生前はまったく売れず、死後に有名になったというような人がいますが、つまりその芸術家は、実力はあっても、この流行からまったく外れているような作品を作り続けていたりしているのです。芸術家が職人として報酬を得るということ、芸術を発表するということは、必ずしも同じではありません。
この流行サイクルをチェックするために必要なのは、天王星と海王星です。芸術家や芸能人が流行の波に乗って売れるかどうか、その流れを察知できるかどうかというようなチェックのために使用されるアスペクトです。「流行は天王星と海王星のアスペクトに注目」ということです。
ただし、流行を察知できる配置を持っていたとしても、社会的な成功に結びつけるためには、やはり木星と土星のアスペクトが必要になるのは言うまでもないことですし、流行に乗って注目される期間は7年間、最大で14年間ぐらいだと考えておくべきです。
今回は「社会的に有名になる星の配置はあるのか?」という観点から書いてみました。実例については、また改めて別な機会に取り上げてみたいと思います。
占術研究家 秋月さやか
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